湯けむりヨットレース (2) 行きの回航 その2 [ヨット]
日差しも風も波も穏やかな日の回航が、
半ばも過ぎて、夕方に近づくと
あたりは一層穏やかになりました。
傾きかけた太陽を隠していた雲が流れて、
不意に水面に光の帯が出来たりすると、
同じような光景を何度見ても、はっとさせられます。
海面の様子が変わると、無意識に空に目がゆきます。
茫洋として空との境のはっきりしないような雲も、
日の光の側では、ゆっくり流れながら、
興に任せて芸を披露しているかに見えます。
その雲を撮っていて、空いていたバウ(船首)に座った時、
そこが、これまで見知った場所とはまるで違うことに驚きました。
海原で前進している時のヨットのバウは、何か特別の場所です。
これまで、バウに陣取った事がなかったのかと、それも驚きでした。
できる事もなく、様子も分からなかった頃は、
スターン(船尾)の一角にいて、クルーの動きを見て、できるだけ邪魔にならないように、
場所をずらしたり、反対側に移動したりしていました。
回航中もその習慣がそのまま続いていたのだと思いました。
バウから見上げたマストのスプレッダーとフォアステイ
刻々と微妙に色合いが変わってゆく夕方の時間を
好きなだけゆっくり味わえるのが、回航の楽しみの一つです。
暮れる前から遠くに微かに見えていた光が、はっきりしてきました。
こんなにたくさんの光が見える港に向けて入ってゆくのは初めてです。
ふと、どこか異国に入港するかのような、心弾む錯覚と、
長旅が終焉を迎えるといった感慨を同時に覚えました。
まさしく”セイルよあれが別府の灯だ”、、といった気分です。
手前はヨットの計器の灯り
「もうすぐそこと思うのに、
これが又中々近づかないんですよね。」
と、技術仕官、
これから入港まで45分かかりました。
雲は今度は月との協演をしていました。
あるいは空と海との協演が果てしなく続いていたというべきかもしれません。
暗い海面の月の反射は厳かでした。
おおよそは見当が付いても、夜、なれない場所に入港するのは
とても気を遣うことのようです。
入港場所について、何度も何度も確認しあうように
会話が交わされているのを聞きながら、
判断の材料もないのに、助ける事はないかと暗い中で目をこらしました。
いよいよ陸に近づいた所で、仕事を終えてから電車で先に着いたコック長が、
こちらへ向けて、懐中電灯の光で合図を送ってくれました。
「あっ、まちがいない。やっぱりあそこだ、あそこだ。」という声を聞いたときは
本当にほっとしました。
繋留は、先に着いていた他のヨットの人達も手伝ってくれてスムーズに済みました。
港にはたくさんのヨットが集まっていました。
朝になったら、ここはどんなに見えるだろうと、それが楽しみでした。
「やっぱ、一人で来るのはさびしかったあ。」とコック長。
電車で2時間半とヨットで8時間半かけた、二手に分かれての
クルーの旅が、ともかく無事に終わりました。
近くの温泉で汗を流して、街で夕食を取ったのは9時ごろでした。
半ばも過ぎて、夕方に近づくと
あたりは一層穏やかになりました。
傾きかけた太陽を隠していた雲が流れて、
不意に水面に光の帯が出来たりすると、
同じような光景を何度見ても、はっとさせられます。
海面の様子が変わると、無意識に空に目がゆきます。
茫洋として空との境のはっきりしないような雲も、
日の光の側では、ゆっくり流れながら、
興に任せて芸を披露しているかに見えます。
その雲を撮っていて、空いていたバウ(船首)に座った時、
そこが、これまで見知った場所とはまるで違うことに驚きました。
海原で前進している時のヨットのバウは、何か特別の場所です。
これまで、バウに陣取った事がなかったのかと、それも驚きでした。
できる事もなく、様子も分からなかった頃は、
スターン(船尾)の一角にいて、クルーの動きを見て、できるだけ邪魔にならないように、
場所をずらしたり、反対側に移動したりしていました。
回航中もその習慣がそのまま続いていたのだと思いました。
バウから見上げたマストのスプレッダーとフォアステイ
刻々と微妙に色合いが変わってゆく夕方の時間を
好きなだけゆっくり味わえるのが、回航の楽しみの一つです。
暮れる前から遠くに微かに見えていた光が、はっきりしてきました。
こんなにたくさんの光が見える港に向けて入ってゆくのは初めてです。
ふと、どこか異国に入港するかのような、心弾む錯覚と、
長旅が終焉を迎えるといった感慨を同時に覚えました。
まさしく”セイルよあれが別府の灯だ”、、といった気分です。
手前はヨットの計器の灯り
「もうすぐそこと思うのに、
これが又中々近づかないんですよね。」
と、技術仕官、
これから入港まで45分かかりました。
雲は今度は月との協演をしていました。
あるいは空と海との協演が果てしなく続いていたというべきかもしれません。
暗い海面の月の反射は厳かでした。
おおよそは見当が付いても、夜、なれない場所に入港するのは
とても気を遣うことのようです。
入港場所について、何度も何度も確認しあうように
会話が交わされているのを聞きながら、
判断の材料もないのに、助ける事はないかと暗い中で目をこらしました。
いよいよ陸に近づいた所で、仕事を終えてから電車で先に着いたコック長が、
こちらへ向けて、懐中電灯の光で合図を送ってくれました。
「あっ、まちがいない。やっぱりあそこだ、あそこだ。」という声を聞いたときは
本当にほっとしました。
繋留は、先に着いていた他のヨットの人達も手伝ってくれてスムーズに済みました。
港にはたくさんのヨットが集まっていました。
朝になったら、ここはどんなに見えるだろうと、それが楽しみでした。
「やっぱ、一人で来るのはさびしかったあ。」とコック長。
電車で2時間半とヨットで8時間半かけた、二手に分かれての
クルーの旅が、ともかく無事に終わりました。
近くの温泉で汗を流して、街で夕食を取ったのは9時ごろでした。
2011-10-11 20:17
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