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湯けむりヨットレース(3) レースその1 [ヨット]

レースの朝、ホテルから港に帰って来ると、
新鮮な朝の光の中で、マストを林立させて、停泊している
たくさんのヨットが美しい姿を見せていました。


朝のハーバー.JPG






林立するマスト2.JPG




人影があまり見えなくても
たくさんの線が交錯して、それ自体がにぎやかです。




混み合うマスト.JPG








BluenoteⅣ.JPG
              





「荷物みんな降ろしてるよ。勝ちに行く気だよ、、」

「うちも降ろそうか。」

そんなものまで降ろさなくても、、というクルーと
少しでも軽くしようと、その意見を無視して、せっせと運び出すクルーと。
後者の気持を汲んで、自分の荷物は全て運び出しました。



荷物.JPG
            横付けした浮き桟橋におろした荷物、、、やかんも、鍋も




艇長会議から帰ってきた大師匠が食事を済ませたら、
「スタートには、少し早いが、海の様子を見に出掛けましょうか」
という事になりました。



出港前.JPG
            出帆準備完了




朝の別府.JPG
            前夜暗い中で灯りを見た別府の街





海へ乗り出すと、いつの間に出港したのか、
遠く前方にはもう、たくさんのヨットが広い海域にわたって繰り出していました。

波もなく静かな別府湾が、
これから、何かが始まるという時の高揚感、
スタートに向けて焦点が合ってゆく緊張感で、
張り詰めているように見えます。 


かもめ.JPG



舵をにぎり、指示を出すスキッパーを勤める大師匠

思案の艇長.JPG



始めは広い範囲を自由に行き来していたヨットの輪が少しずつ縮まります。

スタート後のフォアセールを何にするかで、最終的に意見が交わされました。


結局135ジェノアを揚げようという事になり、
セットをしている途中で、又もやハプニングです。

シートを通すブロックがなかったのです。
キャビンに取りに入った技術仕官の
「ブロックが見当たりません!」という声を聞くが早いか
「ない?じゃあ!下ろそう。おろしてー。」と揚げかけた135を下ろす指示が出ました。

「早くおろしてー、8分しかないよー」
語気を荒げる事のない大師匠の声が、この時だけは、
こうした状況への怒りの混じった声に聞こえました。

コック長がもう一度、急いでキャビンに入り、
すぐにブロックを見つけて戻ってきました。

その間何分あったのか、詰めた息を抜いてほっとしてから、
”スタート前に既にドラマチックな出来事!”と頭の中のメモ帳に記されました。

ほっとする場面ではありません。今度は間もなくスタートです。

良いスタートを切る事は、どの競技にとっても重大事なのでしょうが、
レース中でさえも優雅に見えるヨットレースで、競争という事が一番顕わに見えるのが、スタート直前です。

スタートラインのあたりが、急に混み合います。

流されたりしてフライングをしないように、注意するだけでなく、
スタボーを掛けられて、(優先権を主張されて除ける)進路のロスがないようにしたり、
他のヨットとぶつかり合わないように気をつかったり、
見ていてもハラハラします。

今回は技術仕官が、バウに立って、スタートラインの監視をしました。
ブイと本部艇を結んで作るスタートラインを、レース前に通って、
その時、例えば本部艇と重なる遠くの建物等の目印を覚えておいて、
実際のスタートの時は、左右に首を振ることなく、ガイドするのだそうです。

「笛が鳴らなかったから、フライングしてないね。大丈夫ね。」 と何度か念を押す大師匠の声に、
「大丈夫、だいじょうぶ。してない、してない。」と隣に並んでスタートを切ったヨットから、答えがありました。

今度こそ本当にほっとしました。

手出しのできない私も、何が起きているか、ずいぶんと分かるようになった今は
スタート前の緊張からの開放感も、
みんなと同じように味わえるようになっているのでした。



風がない!進まない!
予想された事でした。
暑い中で、ピタッと1時間も止まったままという経験のあるクルーは、
この清々しい季節 「動いてる分だけ、まだいいよ。」と言います。

「おつ、少し吹いてきた、1,8ノット 、9 、9 3、9 6、、 越したっ 2、3ノット!」
等と、技術仕官やコック長が、速度計を読みあげてくれます。


ハイクアウトして、読み上げられる声を聞きながら、
ひたすら水の流れに見入っていると、
速さと、ヨットが作る波紋や音の関係が少し分かり始めます。
時間が特別な流れ方をし始めて、”まだいい”どころか
ここでも”特別な時間”が流れて行っているように感じられます。




reflection.JPG



reflection2.JPG



船縁り.JPG



海面 遠景.JPG






気が付いたら、多くの船は後ろに見えるのです。
その頃になって、又肝心な場面の写真を撮るのを忘れていたと気がつきました。
     いつも夢中で見てしまっているのです。
     今回はその上海へ出てから、どこかでカメラの何かを動かしたらしく、
レース中の写真はほとんどハレーションをおこしていました。





ピース.JPG
              これは本当は後ろにたくさんのヨットが写る”証拠写真”になるはずでした。






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シジュウカラ

ドキドキしながら読ませてもらいました
by シジュウカラ (2011-10-15 16:52) 

reiko

いちばんドキドキしたのはブロックがなかった時で笑?
by reiko (2011-10-16 11:50) 

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