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金木犀 [雑記]

数日前の朝、隣の家の前を通ったら、
金木犀の香りが漂ってきました。

金木犀と分かる前に、急な朗報でももらった時のような気分になります。

金木犀が香る頃は、丁度残暑からの開放感をしみじみ味わう頃です。
心地よい涼しい風にのって金木犀の香りが流れてくると、
身も心も溶けそうになる事があります。

以前住んでいた家の玄関前の植え込みに金木犀の木がありました。
ある日玄関から出ると、花の香りがするので、
咲いたと思ったら、黄色い花はどこにも見えないのです。

蕾はまだ固くて、開花には間がありそうでした。

でも金木犀は確かに匂っているのです。
それで一生懸命探したら、
花びらが米粒より小さな花がたったひとつ、
まだ、色もはっきり染まらないままで咲いているのを、陰のほうに見つけました。

あんなに小さい花一厘が、これほどの香りを発しているのかと驚いた事を
金木犀の季節には必ず思いだします。

金木犀の香りにはもう一つ鮮やかな思い出があります。
高校生の時、週番の集まりから戻り、
みんなが帰った後の教室に入ったとたん、
金木犀の香りに文字通り包まれたのです。

ガラス窓越しに入った夕方の陽ざしが、教室の空気を暖めていて、
一輪挿しの金木犀も、花の色のように暖かい香りがしました。

のちに、それを追体験しようと、意図して試みたりもしましたが、
教室に入った瞬間のあの時の印象は、
不意に起きた事と無関係ではないのでしょう。



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コメント 2

kyonkyon

文章に引き込まれ、40年前に校庭の芝の上でみた夕暮れの空、あの場所に心が引き込まれました。
by kyonkyon (2011-10-01 20:02) 

reiko


空はさぞきれいだったのでしょうね。
きれいな空は数え切れないほど経験しても、
特別な瞬間の鮮やかな記憶は、何十年たっても特別なのですよね。
by reiko (2011-10-01 23:47) 

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